えち鉄・福鉄 相互乗り入れと「ki-bo」デビュー
このところ、ブログの内容が「さよなら」や「惜別」とか寂しいトピックが多かったので、久しぶりに明るい話題を。

今日(2016年3月27日)に、福井県内の二つの私鉄、えちぜん鉄道と福井鉄道が、相互乗り入れを開始しました。
詳細について本文では省きますが、以下のリンクが分かりやすいと思います。

えちぜん鉄道と福井鉄道乗り入れ 全国初の試み、3月27日運行開始

これまでは両社の路線は田原町駅で、駅を共有し乗り換えは出来ましたが、線路は繋がっておらず徒歩での連絡、そして待ち時間も必要でした。田原町駅周辺は文教地区で学生の利用が多いものの、境界駅である田原町からお互い一つ先の駅に大学や中学・高校があったりして、乗り換えの手間や時間のロスで学生は不便を強いられていました。

ただ、車両の仕様(福鉄は低床の路面電車、えち鉄はホームが必要な通常の鉄道車両)も異なり、お互いのホームの高さも違う為、線路を繋げれば「はい」解決という訳ではありませんでした。

そこでえち鉄側が福鉄の仕様に合わせる形で
・えち鉄が路面電車仕様の低床電車を導入する
・えち鉄側の乗り入れ区間の駅のホームを、低床車用に改修する
ことが決まり、晴れて今日の日を迎えた訳です。

そのえち鉄側の低床車(LRV)が今回紹介する「ki-bo(キーボ)」で、今日の乗り入れに合わせてデビューしました。
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田原町駅(写真はすべて2016.3.27撮影)

この愛くるしい顔と、ネーミングでたちまち子供達にも大人にも大人気。


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福井鉄道福武線・田原町〜仁愛女子高校前

3年前、福鉄で先にデビュー「Fukuram(フクラム)」は鋭い目つきの顔でしたが、「ki-bo」は柔和で癒し系の顔ですね。
ちなみに↓がその鋭い目つきのヒトで、昨日(2016.3.26)デビューした黄緑色の第3編成です。
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福井鉄道福武線・市役所前〜足羽山公園口


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福井鉄道福武線・市役所前

併用軌道区間を走る「ki-bo」。
二つの異なる鉄道事業者が路面電車区間を挟んで、相互に乗り入れるのは日本初のことです。
なおこの写真の上方で左に分岐しているのがいわゆる「ヒゲ線」と呼ばれる支線で、こちらも今日付で延伸して駅前広場まで乗り入れるようになりました。


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福井鉄道福武線・三十八社〜鳥羽中

福井鉄道側も、商工会議所前以南は鉄道線となり、鯖江市内に入ると長閑な田園地帯を走ります。
車列の波に揉まれながら走る路面電車区間とのギャップが面白いですね。
ちょうど菜の花が咲き乱れており、黄色X黄色でいい感じで撮れました。


今日は駅にいた社員さんもヘトヘトで、
「学校の新学期が始まるまで、私たちも慣れないと!」
と仰ってました。


福井に桜が咲く頃には、入学式と新学期を迎えるようです。
学生の希望(「ki-bo」)を膨ら(「Fukuram」)ませてくれる電車になってほしいですね。

# by feel-railside | 2016-03-27 23:58 | 路面電車・LRT
さようなら「カシオペア」
今日(2016/3/21)をもって「カシオペア」が廃止されてしまいました。
自分の中では、九州行きの夜行列車が消滅した時点で、ある程度の区切りはついているものの、やはり寂しいものです。
「カシオペア」は縁のない列車で、結局廃止まで外から眺める(撮る)だけになってしまいました。
そんな外から眺めた「カシオペア」の中から3つほどピックアップしてみます。
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2010/5/29 室蘭本線・長和〜有珠

ちょうどこれを撮った頃は、札幌に二ヶ月ほど住み込みで仕事をしていた時期で、週末にもなれば道内各地に撮影に出かける夢のような生活でした。
毎週末、天候を睨みながらベストな時期に訪問することができ、いい思い出になりました。

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2015/5/22 東北本線・矢吹〜鏡石
夜行列車の楽しみといえば、やはり食堂車。いつものようにディナータイムに流し撮りのシルエットを何度か試みましたが、窓のヌケの悪いE26系客車は殊更苦労しました。

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2011/6/19 東北本線・日和田〜五百川

震災のボランティアに通っていた頃の帰りに撮った思い出深い写真です。茜色に染まった空を反射するシルバーの車体を思い描きましたが、結構屋根が汚れていて狙いの半分ほどの出来になってしまいました。
写真の出来はともかく、どういうことか、この頃はやたらと空の焼ける色が鮮やかだった記憶が蘇ります。なんとも皮肉なことです。

国内では電車寝台の「サンライズ瀬戸・出雲」は残っているものの、車内で食事を楽しみながら目的地まで寝て行ける列車は消滅してしまいました。しばらくは、海外の夜行列車を楽しむしかないようです。


# by feel-railside | 2016-03-22 00:14 | 夜行列車
「DEF写真展『水物語』」開催中です
毎年恒例のグループ展、「DEF写真展」が昨日から始まりました。
告知のほうが遅くなってすみません!

今回のお題は「水物語」。各メンバー工夫を凝らした、一味違う鉄道写真をご覧頂けたらと思います。
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期間:2月18日(木)〜23日(火)
時間:12:00〜19:00 ※23日は16:00まで
場所:高円寺 ギャルリー・ジュイエ (←リンクをクリックすると地図が出ます)

大鶴の在廊日は 2/18(木)全日
       2/20(土)全日
2/21(日)17:00〜

その他各メンバーの在廊は下記の通りです。
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また、会場の一角でポストカードの販売もしておりますので、宜しくお願いします。
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# by feel-railside | 2016-02-19 09:34 | 案内
惜別 浜寺公園駅
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つい先日、南海本線の浜寺公園駅が、高架化のために現駅舎での営業を終了した。
数ある国内の洋風駅舎の中でも、特にお気に入りの駅で何度も訪れていた。
この時も、当時連載していた某誌の「木造駅舎の旅 関西編」の下取材で訪れたのだが、残念ながらお蔵入りになってしまった。


東京駅の設計でも有名な辰野金吾と、片岡安による設計。
明治40(1907)年に建てられて以来、109年もの永きに渡って行き交う電車と乗客を見守ってきた。


建築様式はハーフティンバーと呼ばれ、梁や柱、筋違いを敢えて隠さずに装飾として見せる。
ドイツや北欧でよく見られる建築様式だ。
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写真はフランス・ストラスブールにあるハーフティンバー様式(フランス語ではコロンバージュ)の建築群。


駅名の名が示すとおり浜寺の海浜公園への玄関口で、かつては多くの海水浴客を出迎えた。
残念ながら、現在は砂浜は埋め立てられて、青い松林だけが当時の面影を伝える。

メリハリある色使いをするヨーロッパと違い、浜寺公園駅のそれは淡い色彩の組み合わせが特徴的だ。
ここからは自分の想像でしかないが、薄い水色は浜寺海岸からの海、白漆喰は白砂の浜をイメージしていたのかもしれない。

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ファザードの柱も女性的な曲線美が印象的。



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現代的なサインも駅舎の中に自然と溶け込んでいた。



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ホームにある待合室もまたハーフティンバー様式である。



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木の温もりが感じられる待合室内。中に入ると、なぜか外と違った時間が流れているような気がした。


駅舎(駅本屋)自体は保存が決定され、高架化完成後も新しい駅の正面に移築される。
しかし、このホームにある待合室は残念ながら解体される。


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浜寺公園駅から北に一駅進んだ、諏訪ノ森駅。


浜寺公園ほどの派手さはないが、ここも小粋で好きな駅のひとつだ。

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この駅の見どころは、ステンドグラス。


青松白砂の浜と、遠くに淡路島を望む。かつて見られた浜寺公園からの眺めだ。
諏訪ノ森駅も高架化によって駅の存廃が俎上に上がっていたが、こちらもめでたく保存が決まった。

(おわり)




# by feel-railside | 2016-01-29 17:49 | 駅舎の旅
二つの写真展
ブログのほうではご無沙汰しております。久方ぶりの投稿ながら、告知で申し訳ありません。

さて、12月に二つの写真展を実施します。
一つ目は京都で、二つ目は東京の表参道です。


まずは京都から。
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実は今回の写真展、大学のイベントの一環でやります。
大学時代のゼミの先生から、卒業した学部の50周年祭に合わせて写真展をしてみないか、と提案を頂きまして、そのままノリでやることにしました。
海外のトラムと京都の嵐電の写真を展示します。
ただ、イベント内の出展ということで2日間のみの開催で大変申し訳ありません。
もし、日程が合うようでしたら是非足を運んで頂けたらと思います。

ちょうど京都の街中の紅葉も見頃。
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もちろん嵐電沿線でもこんな紅葉が見られると思います。
嵐電の撮影がてらにいかがでしょう?
嵐電なら北野線・等持院道駅から徒歩で清心門を目指すと便利です。

◼︎立命館大学 産業社会学部50周年記念イベント
「人と街と電車と」写真展
期間  2015年12月5日(土)〜6日(日)
時間  5日…12:30〜17:00 6日…10:00〜15:00
場所  立命館大学・衣笠キャンパス内特設会場(キャンパス内での詳細な場所は決定しておりません。わかり次第告知します。)
    京都市北区等持院北町56-1 ※Google Mapにリンク


もう一つは、東京の表参道でのグループ展です。
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こちらは3回目となるグループ展ですが、今回初めて参加させて頂くことになりました。
プロ・アマ合わせた実力ある写真家ばかりです。
会期中は極力在廊したいと思いますが、撮影の都合等もありますので、FacebookやTwitterでご確認ください。

表参道はちょうどイルミネーションが綺麗に灯る頃。
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表参道のイルミネーションの中を快走する「ハチ公バス」も撮れますよ(笑)


◼︎写真展「鉄展3」
期間  2015年12月16日(水)〜21日(月)
時間  12:00〜20:00(最終日は18:00で終了)
場所  Space Jing ※オフォシャルにリンク
    東京都渋谷区神宮前5-45-5 中澤ビルB1F ※Google Mapにリンク
出品者一覧(五十音順/敬称略)  伊藤 純一 遠藤 真人 大鶴 倫宣 岡田 竜史 織戸 勝彦 加瀬 まゆ美

白井 正彦 清水 昭一 助川 康史 鈴木 公久 高草木 裕子 月生田雅道 栃木 仁 中村 よしお 西尾

根本 陽一 福田 豊 藤井 美佐代 藤田 浩司 船越 知弘 保母 善将 松尾 洋 水野 誠 皆川 知子 安木

横山 崇 米山 真人


では、またみなさんと会場でお会いできる時を楽しみにしております。


# by feel-railside | 2015-11-18 22:13 | 案内
フランス紀行2015【その4】リールにトラム保存鉄道を求めて
忘れた頃にやってくるフランス紀行。
今回はフランス北部の町、ベルギーとの国境にも近いリールに向かいます。

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出発はパリ北駅(Gare du Nord)。
歴史ではパリ・サン=ラザール駅に劣りますが、駅舎の規模、荘厳さではパリのターミナルの中でもナンバーワン。

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パリ北駅で好きな風景が、この荘厳な(!)パタパタ。
フランス国鉄(SNCF)の駅では、列車の発着案内は液晶モニター化が進んでおり、もちろんパリ北駅にも設置されていますが、このように古い装置もちゃんと残されています。
古めかしい駅の雰囲気ともマッチしています。

だだ一文字ごとにパタパタする為、全体の表示が切り替わるのにすんごく時間がかかります。
というか、常にどこかがパタパタしている状態です。
ロンドン行きのユーロスターやブリュッセル、アムステルダム、エッセン行きのタリスなどが表示され、ひときわ国際色豊かで旅情を掻き立ててくれるパタパタです。

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駅で見つけたヘンなモノ。
どうやら待ち時間を解消する為の新手のアイテムのよう。運動不足解消しながらスマホが充電できるという一石三鳥的な発想。
僕も使いたかったんですが、彼女たちどいてくれませんでした。

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さあ、そろそろリール=ユーロップ経由のダンケルク行きのTGVが発車時間が迫ってきました。
TGVはリニューアルする度に残念な塗装になります。

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パリからリールまで250kmをほぼ1時間で結びます。パリ近郊では在来線を走ることを加味するとLGV区間ではほぼ300km/hのトップスピードで走行します。
今回はスポンサーからユーレイル・グローバルパスを提供して貰ってたので基本乗り放題なのですが、TGVと一部のInterciteだけは事前指定が必要で、その都度9〜18ユーロ徴収されます。
ここらへんが事前指定の要らないドイツのICEと比べるとTGVのイマイチ使い勝手が悪いところです。

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翌日、残念ながらリールは1日雨模様。

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まずは、ホテル近くのリール=フランドル駅をパシャリ。
そしてリールにはもう一つターミナルがあります。
ここと、昨晩降りたリール=ユーロップ駅。
前者が昔ながらの行き止まりの頭端ホームが並ぶ駅。駅舎も趣きがあり、歴史はあるもののローカル列車が主体に成り下がっています(リール止まりの一部のTGVも発着)。
後者はTGVの延伸とともに開業した近代的な駅で、ここでイギリス、ベネルクス3国に分かれる結節点となっており、まさにヨーロッパの鉄道の要衝。TGVやユーロスター、タリスがひっきりなしに発着しています。
ただ両者の距離は500mほど。間には巨大なショッピングモールがあり、徒歩での連絡が可能です。

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そして、そのリール=フランドル駅の地下からトラムが運転されています。
ここリールのトラムの開業は1909年。実に100年以上運行され続けています。
今でこそ、フランスはトラム天国、百花繚乱の様相ですが、一時期モータリゼーションの発達でフランスのトラムは瀕死の状態にありました。その中でも生き残って営業続けているのが、ここリールと、マルセイユ、サン=テティエンヌの3都市だけなんです。
それ以外の現在走っている都市は、一旦は廃止されて復活したか、新設された都市です。

その意味では歴史あるリールのトラムですが、90年代半ばに近代化されて、それまでの主力だったデュワーグカーは駆逐さてしまいます。替わりに、イタリア・ブレダ社(後のアンサンドル・ブレダ社。今年、日立製作所が買収したフィンメニカ社の傘下企業)の低床車が導入されました。

が、このクルマ、イタリア製の割にはカッコイイとかオシャレというよりブルドッグのよな無骨なデザインで、個人的にはあまり好きではありません。
運転台の後ろに殆どの制御機器を載っけてるんで前面展望が出来ないのも大きなマイナス。
ただ乗ってみると、やたらと加減速が良く、昔の大阪市交の地下鉄20系のような甲高いVVVF音をキュンキュン鳴らして、懐かしい雰囲気には浸れますが(笑)
とはいえ、好き嫌いで撮らない訳にもいかず一通り乗って、曇天でも綺麗に撮れそうな場所をロケハンしながら、なんとか撮影を済ませました。


さて、前置きが長くなりましたが、午後からは楽しみにしているトラムの保存鉄道を訪問します。
保存鉄道と言えば、蒸気機関車を思い浮かべることが多いかもしれませんが、欧米では少なからず路面電車を動態保存しています。ちなみにフランスで路面電車の保存鉄道を運行しているのはリールだけで、AMITRAM (←運転日やダイヤもこちらのリンクから確認可能)というボランティア団体が運営しています。ただ郊外のMarquette地区という住宅地の中にあり、決して行きやすい場所にはありません。

とりあえずは腹ごしらえ。
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フランス全土に展開するパンのチェーン店「PAUL」。
日本でも敷島製パンがライセンスを受けて出店していますが、リールが発祥の地。そしてここがその本店です。
さすがに本店だけあって、雨ながらも行列ができています。
日本にはないマカロンやメレンゲなども並んでますが、野菜と鶏肉を挟んだサンドで簡単に済ませました。

実はどのバスに乗ればいいのか分からなかったのですが、何となくMarquette地区に行きそうなバスを路線図で探して、バスに揺られること30分。Googleマップを眺めながら近そうな停留所で適当に下車します。
さらに住宅地の中を歩くと15分。
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ようやく看板を発見!

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まだ営業運転前ですが、入念に試験走行していました。
というのも、今日(5/31)が今年最初の運行日。

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どうもポイントの調子が悪いようで油を挿しています。
ご覧のように、おじいちゃん達が運転のボランティアスタッフ。

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車庫には他に2台保存されており、両方とも動かせるとのこと。
右の432号が1921年製、左の小さい74号が1920年製でこっちは単車(非ボギー車)との説明でした。
今回乗る車両が一番古い車両で1910年製で、何と御歳105歳!
リールに路面電車が開業したのが1909年なので、開業1年後から走っている車です。

で、客は僕一人。完全な貸切列車でした。
運転室にも入れてくれました。(と言ってもオープンデッキなんで誰でも入れますが)
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2km程度の距離と聞いていたので、のんびり走るんだろうな、と思ってましたが結構かっ飛ばします。
吊り掛けのモーター音もいい感じです。

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生憎の天気でしたが、しっとりと落ち着いた運河沿いの住宅地の中を走る姿も絵になります。

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こんな感じで電車と一緒にジョギングする姿も。
僕もこの辺に住めば、最近サボってるジョギングも嬉々として続けられるんだけどなー、とか(笑)

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最後に流し撮りで、Au revoir!
この画像を帰国後メールで添付して送ったら、とても喜んで貰いました。

こんな住宅地の中で車両だけでなく、車庫、レールそして電気設備まで2kmの距離とはいえ維持費は相当なもの。
それでもボランティアと寄付だけで運営し、住民にも受け入れられて(←直接聞いた訳ではないけど)、あたかも現役路線かのように走る姿に、ヨーロッパの鉄道趣味に対する懐の深さを感じたのでした。

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1日中雨の中、動いた体は冷え切っていました。
リール名物のムール貝の白ワイン蒸しを食べて体を暖めてから、パリに帰ることにしました。

(つづく)


# by feel-railside | 2015-10-03 21:38 | 海外
「首都圏貨物列車・撮影ハンドブック」発売のお知らせ
SNSのほうでは、既にお知らせしましたが、9/29にイカロス出版様より「首都圏貨物列車撮影ハンドブック」が発売されました。
首都圏の貨物撮影地50箇所のほとんどを7月中旬からの1ヶ月半で撮り下ろしました。
「新幹線撮影ハンドブック」で好評でした、QRコード、MAPCODE、昭文社の見やすい地図、そして詳細な解説を付けています。
是非、書店で手にとって頂けたらと思います。

で、ここで一つ表紙の写真のエピソードについて。
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2015.7 東北本線・野木〜古河


実はこの列車、表紙用なんて思ってもなく、ガイド用の編成写真として待っていました。
当日、この列車にEF66で唯一、原色を保つEF66 27号機が入るとの情報を前日の晩に確認して現地に入りました。
ところが、通過予定の30分くらい前からパタリと列車が来なくなりました。
なんだか嫌な予感。
スマホで運転状況を調べると、東大宮駅で人身事故のこと。
「あー、こりゃ当分来ないな」

そうして、ようやく1時間後に運転再開。
でもやっぱり待てど暮らせど来ません。
予定の2時間を過ぎ、光線状態も順光からトップライト気味に。
「こりゃ、作例写真としても使いにくいなー」
と諦めた頃、ようやくEF66らしいヘッドライトが彼方から来ました。
「よし、来た!」

ところが、ところがです。
何と後ろは1両も貨車を引っ張っていません。
いわゆる単機です。
これじゃあ絵になりません。
で、ここで一瞬、編集部からの
「大鶴さん、そろそろ表紙用の写真を考えといて下さいねー」
との言葉が過ぎります。

「よし、じゃあもうカマアップで縦で流したれ!」
と、カメラを三脚から外し、設定を変えて、手持ちで何とかギリギリ寸前で仕留めることができました。

流し撮りって、案外こういう半ばやけくそ(?)というか、力も入っていない時に案外成功するもんなんですよね。
事前に、「こう流そう」とか力が入っていると大抵失敗します(笑)
というのが、結果オーライでしたが、今回の表紙のエピソードになります。


ところで、この縦位置での機関車アップの流し撮りって結構好きでしてよくやってます。
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2007.8  鹿児島本線・西牟田〜荒木


やっぱりヘッドマークが付いたブルトレだと箔がつきますね。
で、左方向への流しにこだわる理由は、運転台が進行方向左側にあるんで運転士さんの表情が見えるということです。

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2009.7 鹿児島本線・天拝山〜原田


で、運転席は冷房のない車両も多く夏場だと大抵開いてるんで、余計に運転士さんが見えるんですよね(笑)
九州のカマは前パンが畳んでるのが残念なのですが。

あと、この手の流し撮りで注意を払うのは角度。
真横だとカッコよくないんです。
かと言って正面気味もイマイチ躍動感がありません。
自分なりのポイントとしては、向こう側のテールライト(EF66ならライトケース)がチラッと見える角度が、この流しの一番カッコイイ角度だと思ってます。

なので、たとえ10コマ/秒のカメラでも連射はしません。
やはり自分の一番狙った位置で確実に切るには一発切り以外にないんです。
60コマ/秒くらいのカメラが出れば連射に切り替えるかもしれませんが。
あと、もちろんMFで置きピン、そして流し撮り用の手ブレ補正(CanonならIS、NikkorならVR)もOFFにします。
一発切りで、手ブレ補正をONにすると大抵失敗します。
技術的なところは分かりませんが、多分手ブレ補正も連射での撮影を前提にしているのかもしれませんね。

と、流し撮りについて、喋りだしたらキリがないのでまたの機会にでも。
ということで、最後にもう一度。この本、よろしくお願いします。
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# by feel-railside | 2015-10-01 01:46 | 案内
不知火海を走るブルートレイン
フランス旅行記の途中ですが、前回に引き続きブルートレインの話題です。


先日、JR九州から


という発表がされました。


「九州の鉄道の車窓で一番好きな場所はどこ?」と訊かれたら、真っ先に挙げたくなるのが、この不知火海沿いを走る区間です。

特急「つばめ」が西鹿児島(現・鹿児島中央)まで走っていた頃、当時連結していたビュッフェで、ビール片手に「薩摩地鶏照焼チャオセット(だったかな?)」を食べながら車窓を堪能できたのもいい思い出です。

しかし2004年3月の九州新幹線の開業に伴い、この鹿児島本線で一番風光明媚な区間、八代〜川内間は第三セクターの「肥薩おれんじ鉄道」に移管されました。

それと同時にこの区間を走っていた特急「つばめ」やブルートレイン「なは」(新大阪〜西鹿児島)も熊本や新八代発着に短縮されました。

ブルートレインではないものの、この区間を定常的に走る列車としては、12年ぶりに夜行が復活します。
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鹿児島本線(現・肥薩おれんじ鉄道)・薩摩高城〜草道


今回のななつ星の経路変更の目玉のひとつに、ちょうどこの写真近くの


このあたりは遠浅で手付かずの海岸線が残っており、波の音を聞きながら天草諸島に沈む夕陽は最高でしょうね。
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鹿児島本線(現・肥薩おれんじ鉄道)・西方〜薩摩高城


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鹿児島本線(現・肥薩おれんじ鉄道)・上田浦〜肥後田浦


今回の運行設定で、赤字に喘ぐ肥薩おれんじ鉄道にも少なからず増収がもたらされることでしょう。

沿線には小粒ながらも風情のある温泉(高城温泉や湯の児温泉、日奈久温泉)も多く、「ななつ星」の乗客をいずれ誘致できれば、沿線の活性化にも繋がるかもしれませんね。

そして、久しぶりにこの区間で「ななつ星」を撮ってみたくなりました。

来年春からの楽しみがまたひとつ増えました。



# by feel-railside | 2015-09-13 19:25 | 夜行列車
ブルートレイン in my memories
昨日は寝台特急(ブルートレイン)「北斗星」、ラストランの日でした。


これで、昭和33(1958)年に東京〜博多間の「あさかぜ」に登場した20系寝台車から、脈々と受け継がれてきた、いわゆる青い車体のブルートレイン(寝台特急)の歴史にピリオドが打たれたことになります。

最後の最後くらい、サヨナラ撮影でも、と考えたのですがちょっと他の企画の撮影で忙殺されていて(この話はまた時期がくれば、このブログで紹介したいと思います)、結局行けず終い。

もっとも九州出身の僕にとって、東京と九州を結ぶブルートレイン「はやぶさ」「富士」が2009年に廃止された時点で、自分の中に区切りがついた感がありました。
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2007年2月 山陽本線・本由良〜厚東(冬場、この付近の線路の側を流れる厚東川は川霧が発生しやすく、この朝霧のなかを走る「はやぶさ・富士」を撮りたくて何度も通った場所です。3年越し、4度目のチャレンジでようやく収めることができました。)


小学4年生で初めて一人で鳥栖から東京まで乗った「みずほ」(※当時は「はやぶさ」の指定席の入手が困難で、その救済の為に設定されていたのが「みずほ」でした)
京都への大学進学で故郷を離れる際に乗った「あかつき」。
就職で上京する時に利用した「はやぶさ」。

考えてみれば、自分の人生の節目には、いつもブルートレインがありました。




話は替わり、今月の初旬トワイライトエクスプレスの撮影で山陰に行った時のこと。

宿泊先の山口で写真仲間のF君と久しぶりに会って飲んだ時、駅弁の話題になりました。

F君「そういえば、今年の4月で山口県内の駅から駅弁業者が消えたんですよ」

僕「最後まで残っていた新山口駅も消えたんだ。山口の駅弁業者は、まさにブルトレと一心同体だったんだね。」



東京から九州方面へ向かうブルートレインの多くは、広島県から山口県で朝を迎えます。

食堂車が連結されていた時代は、概ね7時になると朝食の営業が開始されていましたが、斜陽化の進んでいた九州ブルトレでは90年代半ばには食堂車の営業は休止。

車内販売が、お腹を空かした乗客の唯一の拠り所でした。

ところが、食堂車だけでなく肝心の九州方面のブルートレイン自体が棲息数減らし、「みずほ」「あさかぜ」「さくら」といった数々の名列車が次々と廃止され、最後まで残ったのが「はやぶさ」と「富士」の併結列車でした。

「はやぶさ・富士」の下り列車には徳山駅から車内販売が乗り込み、主に徳山駅の駅弁が積まれ、売れ行きによっては下関駅で補充されていました。

※九州方面へのブルートレイン全廃後は、山口県内に残る3つの駅弁業者(徳山、新山口、下関)が「新山口駅弁当」に統合されるも、2015年には全て消滅するという、先ほどの会話につながります。

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2007年8月頃の下関駅(下関駅では機関車の付け替えで5分程停車し、ホームの売店は束の間の活況を呈す。特に下関特産の「ふく(河豚)」の天ぷらの入った「ふくてんうどん」は美味しかった。)

その下り「はやぶさ・富士」で売られていた弁当の中で、「日本で一番入手困難な駅弁」と呼ばれ、廃止間際にはファンで密かな人気だったのが、徳山の手前、柳井駅で積み込まれる弁当でした。

入手困難の謂れは、駅弁なのに駅では買えず、販売は下りの「はやぶさ・富士」でのみ。しかも積み込みは5〜10個だけ。

この謎の駅弁に迫るべく「はやぶさ・富士」の廃止3日前に、柳井駅に行って、積み込んでいたおばちゃんに話を聞いみることにしました。

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2009年3月 山陽本線・柳井駅にて(この日の積み込みは8個)


すると、こんな話が聞けました。

・もうウチは、駅弁業者をやめて10年以上になる。
・それでも徳山駅弁当さんの依頼で、1列車につき5〜10個だけブルートレイン用に調製していた。
・屋号は水了軒で、大阪駅の水了軒(注・八角弁当が有名で、今なお駅弁業者として現存)から、先代が暖簾分けしてもらったのがはじまり。
・今は朝3時に起きて、自分一人で作って、毎日運んでいる。

そして、この「はやぶさ・富士」がなくなるとどうなるかと訊ねたら


これで店たたむよ。もうブルートレイン走らんけんね。

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列車が到着すると1号車の車掌に弁当を預ける。

おばちゃんはいつも、調理中のキャップをしたまま駅に入ってきていた。

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店をたたんだら、娘の家でゆっくりさせてもらうけん。あと3日。

そう言い残して、駅をあとにしました。

ひとつの列車が消える陰で、ブルートレインを支えた、ひとりの人生のドラマもまた終わりを告げようとしていました。
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何の変哲もない幕の内弁当でしたが、中身はあの大阪駅の「八角弁当」に通じるおかずの多さ。そして出来立てで、ご飯が暖かいのが嬉しかったです。

(おわり)


# by feel-railside | 2015-08-24 23:42 | 夜行列車
フランス遠征 2015 【その3】トゥールのトラム
初めて訪問した街でトラムを撮影する場合、まずは起点から終点まで乗り通します。

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※トゥールのIC乗車券…紙製ですが中にはICチップが埋め込まれており車内のカードリーダーにタッチします。1日乗車券は3.90€(約550円)。無効になっても、停留所の券売機でチャージ(乗車券情報の書き込み)すれば、何度も繰り返して利用できます。バス・トラム共用。


いい景色に巡り合うと思わず下車したくなりますが、とりあえず撮影は我慢。

車窓から撮影に良さげなポイントはどんどん、GPSで現在地を示すスマホのGoogle Mapに保存しておきます。

その地図をもとに、光線状態などを加味すれば効率のいい撮影プランを練ることができます。


それで、やはり最初に訪れたかった場所はココ。

既にトゥールのトラムの撮影名所ともなっていますが、外せません。
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Tramway de Tours Ligne-A Christ-Roi〜Tranchée

トータルデザインを手がけたのはコンセプチュアル・アートの第一人者、ダニエル・ビュラン。


トラムが横切るロン・ポワン(Rond Point※ラウンドアバウトの仏語)内に、得意のインスタレーションさながらの真っ赤なオブジェを大胆に配置しています。


ビュランは既に、アルザス地方のミュールーズで実績を作っておりトゥールは2例目。

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Tramway de Mulhouse Ligne-3 Porte Haute


ミュールーズでは、半円状のカラフルな巨大な円弧を用いて、遠くからでも駅(停留所)と判るようにシンボライズさせていました。


そしてシンボライズに留まらず、この円弧に架線柱とビームの機能を持たせていたことに感心したのですが、トゥールでは単なるオブジェに陥っているのが、残念なところでした。




次に訪れたのは、トゥール南郊にあるショッピングセンターの近く。この林の中を走るトラムにトキメキでした!

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Tramway de Tours Ligne-A L'Heure Tranquille 〜 Pont Volant

この区間は是非とも絵にしたい、と勿論下車。

たた当日は、晴れたり曇ったりの猫の目のような天気。

こういう時って、だいたい列車の通過時だけ曇ってしまったりするんですが、フランスに来てもその傾向は御多分に洩れず。



あれやこれや地平スレスレのアングルから撮っていたら、線路脇の家から人が出てきて、声を掛けられました。

「ヤバい。『こんな場所で何してんだ』とか言われそう」

と、一瞬緊張してしまいましたが、ニコニコしながら僕に寄ってきて、フランス語混じりの英語でこの場所について説明してくれました。

なんと、この場所はもともと車道で芝生の軌道部分はアスファルトだったとのこと。

アスファルトを剥がして、そこにトラムの軌道を敷いて芝生を植えたらしく、おかげでアスファルトから発する熱がなくなり家も涼しくなった、と大袈裟な身振りで説明してくれました。

で、剥がされた道路はこの並木の東側(写真で言うと右側)に移設されています。

何とも二度手間な工事ですが、魅力ある路線にする為に労を惜しまないところがフランスらしいな、とも思いました。



そしてもう一つ。トゥールのトラムはまた夜の走行シーンが魅力的だったりします。

理由はこの後の写真を見て頂くとして、ただ今は5月下旬。

緯度の高いこの辺りでは22時頃にならないと暗闇に支配されません。

ここは一旦、食事でもしてホテルで日が暮れるのも待ちましょう。

前日のパリで、40€(約5600円)近く晩ごはんで散財してしまったので、今晩は質素にカルフールのお惣菜で済ませます。
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ビールのロング缶を入れて6.5€(約880円)と、まずまずのコスパ。



21時を過ぎて、再び撮影開始です。

この車幅と一体化したヘッドライトがカッコいいんです。
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Tramway de Tours Ligne-A Jean Jaurès 〜 Nationale(次の写真も同区間)

そして後ろ姿のテールライトもまた。

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撮影を終えた頃は既に23時前。

やはり、ヨーロッパで夜景を撮るなら秋〜冬ですね。21時を過ぎるとレストランの前以外は人通りも減ってひっそり。

トラムは既に終電。

ホテルまでとぼとぼと歩いて帰りました。

(つづく)

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(トゥールのトラムの路線図 ※拡大版はここをクリック)


# by feel-railside | 2015-08-13 21:04 | 路面電車・LRT