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フランス遠征 2015 【その3】トゥールのトラム
初めて訪問した街でトラムを撮影する場合、まずは起点から終点まで乗り通します。

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※トゥールのIC乗車券…紙製ですが中にはICチップが埋め込まれており車内のカードリーダーにタッチします。1日乗車券は3.90€(約550円)。無効になっても、停留所の券売機でチャージ(乗車券情報の書き込み)すれば、何度も繰り返して利用できます。バス・トラム共用。


いい景色に巡り合うと思わず下車したくなりますが、とりあえず撮影は我慢。

車窓から撮影に良さげなポイントはどんどん、GPSで現在地を示すスマホのGoogle Mapに保存しておきます。

その地図をもとに、光線状態などを加味すれば効率のいい撮影プランを練ることができます。


それで、やはり最初に訪れたかった場所はココ。

既にトゥールのトラムの撮影名所ともなっていますが、外せません。
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Tramway de Tours Ligne-A Christ-Roi〜Tranchée

トータルデザインを手がけたのはコンセプチュアル・アートの第一人者、ダニエル・ビュラン。


トラムが横切るロン・ポワン(Rond Point※ラウンドアバウトの仏語)内に、得意のインスタレーションさながらの真っ赤なオブジェを大胆に配置しています。


ビュランは既に、アルザス地方のミュールーズで実績を作っておりトゥールは2例目。

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Tramway de Mulhouse Ligne-3 Porte Haute


ミュールーズでは、半円状のカラフルな巨大な円弧を用いて、遠くからでも駅(停留所)と判るようにシンボライズさせていました。


そしてシンボライズに留まらず、この円弧に架線柱とビームの機能を持たせていたことに感心したのですが、トゥールでは単なるオブジェに陥っているのが、残念なところでした。




次に訪れたのは、トゥール南郊にあるショッピングセンターの近く。この林の中を走るトラムにトキメキでした!

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Tramway de Tours Ligne-A L'Heure Tranquille 〜 Pont Volant

この区間は是非とも絵にしたい、と勿論下車。

たた当日は、晴れたり曇ったりの猫の目のような天気。

こういう時って、だいたい列車の通過時だけ曇ってしまったりするんですが、フランスに来てもその傾向は御多分に洩れず。



あれやこれや地平スレスレのアングルから撮っていたら、線路脇の家から人が出てきて、声を掛けられました。

「ヤバい。『こんな場所で何してんだ』とか言われそう」

と、一瞬緊張してしまいましたが、ニコニコしながら僕に寄ってきて、フランス語混じりの英語でこの場所について説明してくれました。

なんと、この場所はもともと車道で芝生の軌道部分はアスファルトだったとのこと。

アスファルトを剥がして、そこにトラムの軌道を敷いて芝生を植えたらしく、おかげでアスファルトから発する熱がなくなり家も涼しくなった、と大袈裟な身振りで説明してくれました。

で、剥がされた道路はこの並木の東側(写真で言うと右側)に移設されています。

何とも二度手間な工事ですが、魅力ある路線にする為に労を惜しまないところがフランスらしいな、とも思いました。



そしてもう一つ。トゥールのトラムはまた夜の走行シーンが魅力的だったりします。

理由はこの後の写真を見て頂くとして、ただ今は5月下旬。

緯度の高いこの辺りでは22時頃にならないと暗闇に支配されません。

ここは一旦、食事でもしてホテルで日が暮れるのも待ちましょう。

前日のパリで、40€(約5600円)近く晩ごはんで散財してしまったので、今晩は質素にカルフールのお惣菜で済ませます。
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ビールのロング缶を入れて6.5€(約880円)と、まずまずのコスパ。



21時を過ぎて、再び撮影開始です。

この車幅と一体化したヘッドライトがカッコいいんです。
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Tramway de Tours Ligne-A Jean Jaurès 〜 Nationale(次の写真も同区間)

そして後ろ姿のテールライトもまた。

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撮影を終えた頃は既に23時前。

やはり、ヨーロッパで夜景を撮るなら秋〜冬ですね。21時を過ぎるとレストランの前以外は人通りも減ってひっそり。

トラムは既に終電。

ホテルまでとぼとぼと歩いて帰りました。

(つづく)

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(トゥールのトラムの路線図 ※拡大版はここをクリック)


by feel-railside | 2015-08-13 21:04 | 路面電車・LRT
フランス遠征 2015 【その2】パリ→トゥール
だいぶ間が空きましたが、お盆期間中にボチボチ話を進めていきたいと思います。


パリを拠点に最初に目指したのがトゥール。

世界史的には「トゥール・ポワティエ間の戦い」で有名ですが、今は人口15万人足らずのロワール川沿いの小さな町です。

トゥールには、2013年8月から新しいトラムが走り出したのですが、僕の前回のフランス訪問は2013年6月。残念ながら開業前で、ようやく初訪問となります。


パリからトゥールへの鉄道での行き方は

(1)パリ・モンパルナス駅からTGVで …所要時間約1時間15分
(2)パリ・オステルリッツ駅からCorail Intercites(都市間急行列車)で …所要時間約2時間20分

の2通りありまして、

(1)は天下のTGV。早いけど料金は割高。
(2)はTGVの倍近く時間はかかるけど、運賃はTGVの半分以下。

となると自ずと選択肢を絞られます。



オステルリッツ駅はパリのターミナルの中では唯一未訪問ということもあり、駅の観察をかねて後者を選択しました。

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メトロ8号線でセーヌ川を渡るとすぐにオステルリッツ駅です。

メトロはセーヌ川を渡る為に地上に出ており、駅舎の2階に乗り入れています。

そしてフランス国鉄の路線は、この路線に直交するように(写真でいうと、左側DEPARTと書かれた建物)の中に頭端式のホームが並んでいます。

ちょっと規模は違いますが、東京で言えば渋谷の地下鉄銀座線とかつての東急渋谷駅と似た構造と言えば、分かりやすいかもしれません。

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パリの6つのターミナル駅の中では、ここオステルリッツ駅とサン・ラザール駅の2駅はTGVの乗り入れがありません。

サン・ラザール駅はパリ近郊(イル=ド=フランス地域圏)へのトランジリアン(郊外列車)が頻繁に発着する忙しい駅ですが、オステルリッツ駅はそれらの発着も少なく、パリのターミナルの中では一番のんびりとした雰囲気です。

これから乗車するトゥール行の機関車(BB7200形)が旧塗装&旧SNCFロゴってのも、この駅の佇まいにマッチしています。


さて、発車時間も迫っていたので、早々と乗り込みます。
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今回乗車したのは2等車両。

座席の配列はヨーロッパでは一般的な集団見合い式。

日本では京急の2000形や元成田エクスプレス253系で見られるくらいの珍しい配列ですが、何を隠そう、このCorailの座席配列こそ、進取の精神溢れる京急2000形の元ネタだったりします。

特等席は、中央部にあたる4人掛けのボックス部分。

こんなガラガラな状況なので、もちろんボックスに足を伸ばして独り占めです(^ ^;;


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パリを出ると早速車内検札です。

つい2年前まではIT化などは無縁なフランス国鉄でしたが、今やフランス国外でも事前にアプリをインストールしてチケットレスで予約・購入ができるようになりました。

予約内容をiPhoneのPassbookに登録して車掌に見せれば、車掌側の端末で2次元バーゴードをスキャンして検札終了です。



パリを出発すると、しばらくはゆったりとしたスピードでセーヌ川の東側を走りますが、途中で内陸に針路を変えると、一気にスピードアップします。

このルートはかつてのフランス西部や南部へのメインルートでした。

90年代から高速新線であるLGV大西洋線が建設されると、優等列車はこぞってTGV化してしまい、完全にローカル線に成り下がってしまいました。

TEE特急「アキテーヌ」や「キャピトール」が時速200kmでボルドーやトゥールーズを目指して駆け抜けたのも今いずこ。

でも、そんな兵どもの夢のあとをのんびりとしたスピード(それでも時速160kmは出します)で辿るのもまた乙なものです。

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街→小麦畑→街→小麦畑、、、の無限ループがフランスの車窓風景ですが、アクセントを入れるかのように忽然と姿を現わす原子力発電所もまたフランスらしい風景です。

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列車がオルレアンに近づくと、古びた高架橋がずっと線路に寄り沿って伸びています。

何やら、九州・宮崎の日豊本線沿いのリニア実験線跡と瓜二つの光景。

実はこれ、フランス国鉄が次世代型鉄道として開発した、空気浮上式鉄道「エアロトラン」の実験線跡なのです。

「跡」の名の通り、結局「エアロトラン」は騒音やエネルギー効率性の観点から早々に開発を断念します。

磁気と空気の違いこそあれど、どちらも浮上式鉄道の実験線跡。

片やリニアに本格着工に舵を取った日本。片や浮上式は諦め鉄輪式鉄道の更なる高速化に変更したフランス。

どちらが吉と出るかは、いずれ歴史が証明するところでしょう。

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オルレアンをすぎると、車窓の街並みは変化します。

さすが数々の歴史の舞台となったロワール川流域。

古めかしい教会と、それを取り巻く石積みの街並みが歴史の重みを感じさせます。

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ロワール川を渡河すると、フランスの鉄道の要衝、サン・ピエール・デ・コール。

ここから5分。盲腸のように伸びた線路を走るとトゥールに到着です。

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頭端式のホームには短編成のTER車両。

パタパタ式の案内板。

いかにもフランスらしい地方都市の終着駅。

さあ、荷物を一旦ホテルに預けてトゥールの街をさるく(注)ことにしましょうか。

(注)「さるく」とは「街をぶらぶらとあてどなく歩く」の肥筑(福岡県筑後地方、佐賀・長崎県域)方言でして、これほど短い動詞で、この状態を的確に表現できる言葉は他にない→できれば標準語化、と願っている一人です(笑)

(つづく)

by feel-railside | 2015-08-11 11:46 | 路面電車・LRT