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雪の朝
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大雪の翌朝。
雪の積もった横断歩道を、一歩一歩踏みしめて。

2018.1.23 都電荒川線・飛鳥山〜王子駅前

by feel-railside | 2018-01-24 01:14 | 路面電車・LRT
さようなら 松尾ハム製造所
年始に実家に帰った時のこと。
「松尾ハム、この年末でのうなったよ」
と母から衝撃の一言。
久留米の実家に帰るたびに楽しみにしていた、松尾ハムの生ハムとベーコン。
久留米市内はもとより、福岡や北九州の飲食店からの引き合いも多く、年末最後に何とかキャンセル待ちで手に入れたとのこと。
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最後の100gを東京に持ち帰り、今日最後の4切れを食べました。
で、このハムの画像と素晴らしさを後世に残すために最後に撮影しました。

生ハムなんて、わざわざ久留米で買わなくても、どこでも手に入るだろう、とみなさんお思いでしょう。
でも、違うんです。
瑞々しさ、きめ細かい繊維質がもたらす食感、控えめの塩加減、そして程よい薫香。全てが絶妙なバランスで成り立っています。
生まれて初めて知った味が、松尾ハムの生ハム。それ以来、僕の舌の生ハムの基準はここでした。
残念ながら、どんなに高級なスペイン産のハモンセラーノを以ってしても、これまでこの味を超えるハムはありません。

では、いったいなぜ九州の久留米の地で、こんな美味しい生ハムが出来たのでしょう?
松尾ハムの創業は大正4(1915)年。今から80年以上も前。時は第一次世界大戦の真っ只中。
その前年、日本はイギリスとの連合軍で、ドイツ帝国の東アジアの拠点である中国・青島を攻略しました。
そして大量のドイツ兵が俘虜として日本の収容所に移送されました。
その最大の収容先が、当時は日本有数の軍都で十八師団のあった久留米でした。その数1300名以上。

俘虜収容所では、多くの俘虜が故郷の味(ハムやソーセージ、ビールなど)を渇望していたとのこと。
また俘虜の多くは志願兵で元民間人が多く、その中には食肉に従事していた者もおり、久留米のキリスト教会を通して、
紹介されたのが、キリシタンでもあった初代の松尾ハムの創業者でした。
松尾氏は、そのドイツ人から伝統的なドイツのハム・ソーセージの製法を学び、製造に漕ぎ着けました。
その味はドイツそのもので、多くの俘虜から拍手喝采で迎え入れられたことでしょう。
(以上が、以前松尾ハムのご主人(三代目)に買い物ついでに伺った話です。最後だけ盛りましたw)

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ちなみに俘虜収容所では音楽活動も盛んに行われ、ベートーヴェンの交響曲1,5,7,8番の日本初演は久留米とのこと。
もちろん演奏は俘虜で組成されたオーケストラです。

また大正8(1919)年のヴェルサイユ条約発効後、収容所は閉鎖され、多くの俘虜がドイツへ帰国したものの、そのまま日本滞在を望むドイツ人もおり、
中でも日本足袋のヒルシュベルゲル氏、つちや足袋のウェデキンド氏は有名です。
二人ともドイツでは技術科学者であり、その二人の尽力で前者は日本足袋タイヤ部を経てブリヂストンタイヤへ、後者は月星化成(現・ムーンスター)
へと発展し、久留米の近代工業の礎を作ったと言っても過言ではありません。

このように久留米に文化、芸術、産業で多くの発展と近代化をもたらしたドイツの俘虜兵。
松尾ハムの閉店は、単なる地方都市の衰退で片付けることのできない、文化・産業の継承という点でも大きな痛手です。
松尾ハムの製法を継承し、あの味を後世に伝える職人が、またいずれ出現することを願ってやみません。

参考文献:「ドイツ兵久留米俘虜収容所展」パンフレットより(久留米市文化保護課)

※久留米のドイツ俘虜収容所に関しては以下のブログが詳しいです。
ご興味ある方は以下のリンクからどうぞ。





by feel-railside | 2018-01-21 23:16 | その他
本日よりグループ展、開催します。
ギリギリの告知になってしまいましたが、本日1/18〜よりグループ写真展に出展いたします。
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鉄道写真家集団「Railway Graphic D.E.F」の第5回写真展、今回のテーマは「郷愁」です。
私も6点、出展しております。
メンバーの個性光る、「郷愁」のイメージをお楽しみ頂けたらと思います。
在廊予定はこちら↓
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地図はこちら↓

○会期  2015年1月18日(木)~1月24日(水)  ※21日(日)は休館
○時間  10:00~18:00(最終日は15:00)  ※入場無料
○会場  アイデムフォトギャラリー「シリウス」  東京メトロ丸の内線新宿御苑前駅すぐ 〒160-0022 東京都 新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F
○出展者  今井英明 内田伸太 衣斐 隆 遠藤真人 大鶴倫宣 大藪琢也 佐藤武志 高木比呂志 船越知弘 吉永陽一

以上、皆さまのお越しをお待ちしております!

by feel-railside | 2018-01-18 08:06 | 案内
「ただいま帰りました!」
「ただいま帰りました!」
カメラを持って列車の通過を待っていると、背後から元気よく声をかけられた。
一瞬、どう言葉を返したがいいか戸惑いつつも、
「おかえりなさい」
二人の女子中学生は、笑顔で返して夕暮れの雪道を帰って行く。
その数秒後、待っていた列車が過ぎて行った。
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JR芸備線・平子〜備後西城

この日は三江線の雪景色を撮るつもりであったが、残念ながら積雪で運休に。
木次線も前日からストップしており、この辺りで唯一動いていた芸備線に向かった。

久しぶりに芸備線の三次以東をロケしたが、三江線に負けず劣らず魅力いっぱいの路線。
三江線廃止後も、また中国山地の山あいに足を運ぶことも多くなりそうだ。

by feel-railside | 2018-01-14 22:15 | ローカル線
はれの日に
今日は成人式。
薄日も差してきたので、近所の都電沿線に繰り出しました。
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この場所に立ったのは5年ぶり。ちょうど、大雪の成人式の日でした。
それ以降は会場が変更になったり、雨が降ったり、遠征に出かけていたりと、いつの間にか5年も経ちました。
やはり少子化のせいか、5年前にくらべて新成人の乗客も減ったような気がします。
そして最近は親同伴の新成人が多いのにもびっくりしました。

都電に揺られながら、駅に着くたびに久しぶりの再会を喜び、思い出話に花を咲かせる。
都電ならではの年に一度の情景です。

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車内で出会ったグループに声をかけて会場最寄駅で、記念写真を一枚。
新成人のみなさん、おめでとうございます。
若いって、いいなあと思うと同時に、ちょっと元気を貰った一日になりました。

※いずれも撮影と掲載承諾済み

by feel-railside | 2018-01-08 15:06 | 路面電車・LRT
一年の計は三江線から
明けましておめでとうございます。
長らくブログを放置してしまい、申し訳ございません。
ここ数年はSNSメインの情報発信だったのですが、SNSだけでは書ききれない内容もありました。
何よりタイムラインという時間の軸で押し流されてしまい、過去の振り返りが難しいという欠点もあります。
またホームページを開設していた頃の掲示板で集っていた仲間からも、ブログの再開を望む声も上がってきました。
そこで2018年の始まりを機に、ブログを再開することにしました。
これからは、両者をうまく使い分けて行けたらと思います。

さて、年末年始はJR三江線の宇都井駅で迎えることになりました。
この3月末限りで廃止される路線です。
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宇都井駅は地元のボランティアの方々が中心となって、11月に「INAKAイルミ」というライトアップとイルミネーションの町おこしイベントが開催されています。
そしてNHKの「ゆく年くる年」で中継されることになり、イベントが再現されました。

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通常の営業列車が去った後、テレビ中継のために仕立てられた列車が3時間近く留め置きされました。
そして車内では、島根県出身の歌手・浜田真理子さんと地元の方々がアコーディオンの音色にのせて歌を歌う「うたごえ列車」が設定されました。
また駅のたもとでは、屋台が開設されて、こちらも大いに賑わいました。
テレビやラジオで全国へ向けて中継されたので、ご覧になった方も多いと思います。

「楽しかったけど、もう3ヶ月後にはなくなっちゃうんだよね」
そんな声が聞こえてきました。
廃止は延長も撤回されることもありません。
それが現実。
こうして、まちのかけがえのない財産として認識されたのも、皮肉ながら廃止が決まってからといっても過言ではありません。

そして、この問題は決して遠い中国地方の山あいの中にある三江線だけの問題ではありません。
大都市への人口の極度な集中、中山間地域の過疎化、そしてそれに伴うインフラ維持の困難化。
今後日本全体の人口減に伴って、これらの問題は次第に山から街へ降りてきています。
三江線の廃止は、縮小する日本の未来の縮図なのです。

少し固い話になりましたが、翻って自分自身。
美しく、懐かしい日本の原風景と鉄道を求めて、たどり着いた三江線。
写真家としてできることは、そのシーンを撮って紹介することくらい。
でも、それだけでいいんだろうか、とも。

盛り上がり、楽しくも、いろんな思いが交錯しながら、今年最初の撮影となりました。
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by feel-railside | 2018-01-02 13:38 | ローカル線