今回は、先週の大阪取材の道中で思った事から。
三連休は、初日と最終日が埋まってしまい、何とか中日+半日使って大阪の取材+神戸(関西時代の同志の写真展)に行って来ました。 前日3:00まで画処理⇒6:00の東京始発の新幹線⇒新大阪着くまでの2時間半はひたすら眠る という黄金プランを立てていたんですが、脆くも崩れ去り、、、 やっぱり東海道新幹線の車窓は楽しすぎて眠れないんです。 丹沢の大山に始まり、愛鷹山、富士山、茶畑、浜名湖、、、と車窓からの風景だけでなく、 727化粧品の看板や、三河安城にあるニチバンの謎のコピー等マニアックなものまで。 そして、かつて隈無く探し歩いた撮影ポイントのチェック、と忙し過ぎて眠るヒマなし!なんです。 関ヶ原を越え、滋賀県に入り目に飛び込んできたのが、線路沿いのコスモス畑。 そういえば、6年前。 当時連載していた「新幹線のいる風景」用に探し歩いたな〜、とか。色んな線路端での思い出が、次々と流れる車窓からポップアップのように現れてくるのです。 最初はコレで行こうと思ってました。 「でも何か絵はがき的すぎる」 「まあ、日も暮れて来たしいいか〜」 と半ば妥協的に行き交う新幹線を眺めながら、トボトボと在来線の近江長岡駅まで歩いて帰る道すがら。 「あ!!」 「あるやん!」 逆光にキラリと輝く新幹線とススキの穂。 「これだ!これだ!」 と日が暮れるまで夢中に撮影。 そして一番絵になったのがこの700系新幹線。 後で調べたら、丁度407年前のこの日は、関ヶ原の合戦。 破れた西軍の部隊は、こんな風景を眺めながら追われ、退散していったのか、とその穂先の一本、一本に儚く散った兵どもの夢のあとを重ねてみたり、、、 てな訳で、眠るどころか いつもいつも、東京〜新大阪間刮目し放しなんです。 「新幹線エクスプローラー」2008年秋号 「新幹線のいる風景」より。 #
by feel-railside
| 2013-10-17 00:06
今回は7月に取材に行った、岡山県の山間部にあるホルモン屋さんにまつわるエピソード。
木造駅舎の取材で訪れた姫新線の美作江見駅。地味ながらもどこか懐かしさ溢れる味わいある駅で、最近はドラマやCMのロケにも使われている。 実は、この地に立ち寄ったのは二度目。といっても駅ではなくて、駅近くの国道沿いにあるホルモン屋さん。 今から10年以上前。 同じ夏の日。 朝から沿線のひまわり畑と列車を絡めて撮り、 「さあ、お昼ご飯」 と国道を走らせるも、中々よさげなお店が見つからない。 延々と車を走らせた挙げ句、もうお腹も限界と偶々辿り着いたのがこのお店。 暖簾は出しているものの、 「ホントに営業してるの?」 と思うくらいのお世辞にも綺麗とは言えないお店。 引き戸を開けてると真っ暗。しかも店内は雑誌やら買い物袋やらで散らかっており、とても商売しているお店とは言えない状態。 「やっぱりダメだ」 と引き上げようとすると、奥からゴソゴソとおばちゃんが。 おばちゃん「うどんしか出来んけど、ええか?」 (ん?ホルモン屋なのにうどん???) おばちゃん「ホルモン入りの焼きうどんよ。ちょっと鉄板の上片付けるし、今から冷房も付けるから、ちょっと待っとかんね。」 店というより、ばあちゃん家の台所でご飯を食べさせて貰っている感覚だった。 これが、ホルモンうどんとの出会い。後の「津山ホルモンうどん」としてB-1グランプリでも常連の人気メニューにもなる代物。しかしまだそんな言葉、市民権を得てない時代であった。 なかなかの美味ではあったが、料理と言うよりは「まかない」に近い感じだった。ただ、あの甘ったるい味付けが妙に後を引いて、たまに思い出しては懐かしく思えた。 あれから10年以上。再び、あの店に行ってみることにした。 10年の歳月は、そのお店を更に侘しくし、店内の散らかりようも10年増しであった。そしておばちゃんも。 相変わらず暗い店内。 「ごめんね〜。エアコン壊れたんよ。扇風機で我慢して。鉄板熱いけど。」 その声はまさしく、あの時の記憶のまま。 「今日、大きいなす貰ったけん入れるよ。」 と、こちらの了解などお構いなしに、淡々とした手さばきで野菜、そしてぷりぷりのホルモンを炒めていく。 (あ〜、こんなだったな〜。あの時と違うのは店内の異様な暑さだけだ) そして麺投入。 「兄ちゃん、食べそうじゃけん多めにしたけん。」 味付けはこれでもかというくらい、醤油をかける。 〆はドサッと三温糖。 味もあの時の記憶のまま+αでホルモンの脂をよく吸った甘い甘い茄子♪ 10年ぶり二度目の来店であること、東京から仕事で来た事などを喋ってると、 不意におばちゃんが、 「あと一週間遅かったら食べられんかったね。今月いっぱいで店たたむんよ。」 工エエェェ(´д`)ェェエエ工 直接の原因は、エアコンの故障とのこと。 「こんな暑い中、お客さん入れられんよ。新しいエアコン買ってまでねえ、、、」 「でもねえ、もう娘夫婦からは『お店でぽっくり行かれたら困る』とかずっと言われててね〜」 「でもこうやって、色んなお客さんと喋るのがボケ防止になっとったんやけどね」 「いつ閉めようかとずっと考えてはいたんよ」 「店閉めたら、娘夫婦と孫と一緒に暮らそうと思ってる」 更に、自分の健康のこと、孫のこと、F1レーサーが突如、来店した時のこと(※実はこの近くにTI英田というサーキット場がありF1パシフィックGPが過去2年だけ開催された) 延々と1時間以上喋り放し。 そろそろ、次の取材にも支障をきたしそうだったので退店を申し出る。 最後に店の前で記念写真。 店の前に堂々と停めてる車(←おばちゃんの)が邪魔だったけど。 今日撮った写真をプリントして送ってあげること、ネットに載せるかもしれないことを伝える。 三度目はないか、と思うとちょと切ない気持ちに。 でも、10年間あの味を想い(?)続けてよかった。ギリギリで引き合わせてくれたのかもしれない。 「おばちゃん、孫に囲まれて元気でね」 それには、何も言わずに照れたような、笑いを殺したかのような表情。 おばちゃんは、バックミラーの視界から消えるまでずっと手を振ってくれていた。 「鉄道デザインEx vol.7」2013年8月発売の誌面より #
by feel-railside
| 2013-10-14 22:00
突然ですが、ブログ復活。撮影裏話や昔のことなど、SNSでは書ききれないネタを思いつくままリリース。
まずは初回ということで、初仕事の写真から。 ちょうど僕が脱サラして上京したのが7年前(2006年)の春。 最初の頃は午前中は埼玉の桶川で某デパートの通販用撮影のバイト、夜間は渋谷の写真の学校行ったりという生活だった。 多少余裕も出て来た9月頃。そろそろ営業用の作品でもと向かったのが、品川の埋め立て地にある新幹線の車両基地。なぜ新幹線を選んだのかは分からなかったが、漠然と撮りたかったのが、朝の車庫の風景だった。 夜も明けきらぬ早朝5時。一番歩道側には人気の500系。そして700,300,700,300…とうまい具合に並んでいる。そこで撮った1枚。 1週間後、某出版社に持ち込むと、たまたま新幹線の雑誌を創刊するということで、渡りに舟的に即採用。漫画みたいだけどホントの話。 この写真から僕のプロとしての生活は始まった。 『新幹線EX』創刊号(2006年イカロス出版)より #
by feel-railside
| 2013-10-12 01:54
|
写真家・大鶴倫宣のブログです。
ブログのほかこちらでも情報発信しています。
タグ
ヨーロッパの鉄道(17)
トラム(14) フランクフルト(3) 都電荒川線(3) 国鉄色(3) ブルートレイン(3) 北陸新幹線(3) 北陸本線(2) ミュンヘン(2) ローカル線(2) はやぶさ(2) ボルドー(2) トゥール(2) 地方鉄道(2) 三江線(2) 三鉄(2) 三陸鉄道(2) 桜(2) 写真展(1) 松山城(1) カテゴリ
以前の記事
外部リンク
お気に入りブログ
東雲紀行:旧街道と鉄道の狭間 from our Dia... ベルリン中央駅 わたしゃお気楽さらり~ま... ねこ写真展 かずきパパの別荘 思うまま by 岩佐徹 根津 居酒屋すみれ YA... ローカル鉄道散歩 検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||